子ども未来・愛ネットワーク / 大塚 愛さん



    原発事故により、私たちは「福島に住み続ける」「避難する」、その二択を迫られることになりました。この9年間の支援活動や自分の体験を通して学んだことは、どちらが正しいかと二分して判断するのではなく、いろんな側面を持つ「正しさ」の多様性を認め合うことで、より良い議論を深められるということでした。そして、選択できること、それぞれの選択肢に対する支援が必要だということです。福島に住み続けた人も避難した人も、願いは同じ。「福島の復興」です。

     2011年以降、毎年一度は川内村の自宅に戻っています。震災後数年は線量も高く、体調不良を理由に避難する方も多かったので、不安も大きかったですが、ここ数年は穏やかな気持ちで戻ることができています。当初はどうなることかと思いましたが、いま福島が復興していく姿を見られることは嬉しく感じています。

     福島から岡山に避難した方たちは、それぞれの道を歩まれています。家族全員で移り住み、自宅を建て、避難ではなく移住に舵を切られた方もおられれば、子育てが終わったら福島に帰りたいと思っている方もいます。そのような状況の違いはありますが、おそらく避難した人たち、そして福島に暮らす人たちに共通しているのは、「原発事故を引き起こしてしまった国や電力会社の在り方をしっかりと反省し、二度とこのような災害を繰り返してほしくない」という思いではないでしょうか。

     「子ども未来・愛ネットワーク」では現在も年1回程度、リピーターの方を中心に保養の受け入れを続けています。約400名が参加するメーリングリストで各種勉強会や交流会の情報交換も行っています。また、岡山市が年3回、東京や大阪で開く「移住相談会」に参加して、岡山市への移住を考える方からの質問にもお答えしています。さらに、私たちは今、省エネと再生可能エネルギーについて勉強中。福島の先進事例も見に行きたいと思います。



    福島の景色は美しく、ごはんも美味しい。本当にいいところです。穏やかで優しい人たちのことも忘れられません。これからも、福島で復興していく人たちの歩みを応援すると同時に、不安を抱えるお母さんたちが気持ちを共有できる場を持ち続けたいと思いますし、原発事故から学び変わっていける社会をめざして、行政に働きかけ、エネルギー政策を変えていけるよう頑張っていきたいと思います。



    原発事故後、私たち家族が暮らしていた川内村は避難指示区域となりました。現在は議員として再生エネルギーの活用法について学んでいます。


    岡山県議会議員

    子ども未来・愛ネットワーク

    大塚 愛

    1974年岡山市生まれ。岡山大学卒業後、1999年より農業研修のために福島県へ。2011年3月11日、川内村から岡山市に避難し、5月には「子ども未来・愛ネットワーク」を始動。2014年シェーナウ環境賞受賞。2016年から岡山県議会議員。


    子ども未来・愛ネットワーク

    2011年5月に岡山市で発足。避難者や避難を希望している人に受け入れ先や支援団体など必要な情報を提供するほか、岡山市民と避難者・移住者の交流を図るネットワークづくり、原発災害体験を語る活動なども展開。現在も暮らしに役立つ情報発信や心のケア、保養受け入れ、福島への帰還者支援などを継続している。

    http://kodomomirai.org